認知行動療法
認知行動療法とは
私たちは日々様々な出来事を経験し、そして多くの他者と交流しながら生活を送っています。 そういった「外の世界」と「私たちの内面」は影響しあっています。私たちの内面は「気分・感情」「身体反応」「考え(認知)」「行動」の4つに分けることができ、 それぞれが相互に作用しているというのが、認知行動療法におけるひとつの考え方です。(あくまでひとつの考え方です。認知行動療法とひとくちに言っても、拠って立つ様々な考え方、理論があります。)
治療者と協力関係を築いた上で、これらの相互関係について話し合い、検討を行い、おひとりおひとりが抱えているさまざまな困りごとを和らげようとする試みが認知行動療法です。
認知行動療法の適応は精神障害・医療の分野に留まらず、世界中の研究者・臨床家により様々な分野に応用され、今なおその裾野を広げ続けています。
認知行動療法の特色とは
患者さんご自身が自らのセラピストとなることを目指すということが、 様々な特色のうち強調しておきたいことのひとつです。 セラピストと患者さん(もしくはクライアント)はひとつのチームになって、自らを苦しめる感情を軽くしたり、困りごとを解決したりすることを狙い、そして最終的には患者さんご自身でそれらが出来るようになることを目指します。一連の認知行動療法のセッションを終え、自らのセラピストとなることが出来たならば、その効果は治療終結後も続くことが期待できます。
いまいちピンときません。実際には、どのようなことをするのでしょうか?
今この瞬間に考えていることを「話す」、日々の出来事を「記録する」、呼吸や拍動などの身体感覚を「感じる」、食べ物を「味わう」、景色を「注視する」、様々な音を「聴き分ける」、計画した行動を「試す」、わきあがった感情を「受け入れる」、自分の要求を「伝える」などなど、他にもたくさんありますが、これら全てが認知行動療法で行うことです。
もちろん人によって、困りごとの種類によって、重視する領域はそれぞれなのですが、強調したいのは、ただ診察室の椅子に座ってお話しするだけが認知行動療法ではないということです。
いったいどんなことをするのか、余計わからなくなった方もいらっしゃるかもしれません。でも、それで全く問題ありません。上述したような様々な手法を通して、少しずつ発見を積み重ねていくことが、状態の改善につながっていきます。セラピストは治療のあいだ患者さんに常に伴走し、そのお手伝いをさせて頂きます。
料金について
施術には保険診療費用に加えて予約料が必要になります。
集団で行う認知行動療法とは
認知行動療法は1対1で行うことが基本となりますが、時には集団で行うこともあります。個人で認知行動療法を行った場合、集団で行うよりも患者さん一人ひとりに応じて細かい治療内容の調整を行えることは大きな利点となります。ただし、当院においては集団といっても2~4人と比較的少人数で行いますので、患者さん一人ひとりの状態を把握することは十分に可能です。また、同じ症状に苦しむ患者さん同士のディスカッションが大きな治療効果を生むことが期待でき、これが集団で治療を行う場合の大きなメリットとなります。
当クリニック院長は、個人、集団、どちらの形式でも実践経験を積んできております。困りごとの種類、料金、希望時間など、皆様のニーズに照らし合わせつつ、最適な実施形式を提案させていただきます。
認知行動療法を施術するセラピストについて
当院においては院長が担当いたします。これまで院長は、様々な精神疾患に対する認知行動療法の訓練を積んでまいりました。我が国において指導的な立場のセラピスト、日本人に対する認知行動療法の治療効果を示してきた国内研究グループのセラピスト、そして、特定の認知行動療法プログラムを開発した世界的に有名な海外グループのセラピストなど、様々な立場の優秀な臨床家からの直接指導経験を豊富に持っております。また、技量の維持・向上のため、現在も継続して訓練を続けております。
また、院長は認知療法の総本山である米国認知療法アカデミーが認定した認知行動療法セラピストです。米国ペンシルバニア大学不安障害治療研究センターが認定したPEスーパーバイザー・セラピストでもあります。(PEはPTSDの専門的な心理療法のひとつです。)くわえて、厚生労働省が行っている認知行動療法研修事業の指導者(スーパーバイザー)のひとりであり、国内の認知行動療法セラピストの育成に微力ながら協力させていただいております。
当院における認知行動療法の適応(施術対象)について
認知行動療法の適応疾患は幅広く、勤務医時代に引き続き当院開院後も、院長は様々な精神障害、困りごとにたいして認知行動療法を施術してまいりました。一方で、当院では精神科診療所の通常診療を行っている院長が認知行動療法のセラピストをも担当しているため、一定の期間に担当できる患者さんの数には限りがあります。通院患者さんの数も徐々に増えてきております。そのため、当院においては、認知行動療法を施術する精神障害にある程度の優先順位を想定しております。
具体的には、薬物療法より認知行動療法の効果が上回ると考えられる精神障害(例:心的外傷後ストレス障害)、当院の診療圏内において受療機会が得にくい精神障害(例:社交不安障害、パニック障害、複雑性悲嘆)などを優先的に当院における認知行動療法の施術対象としております。